【医療相談008】夜、口の中がカラカラに乾いて目がさめる

夜、口の中がカラカラに乾いて目がさめる…

【相談内容】
昨年の冬くらいからですが、夜、寝ていると口の中がカラカラに乾いて目が覚めてしまいます。最近は毎日のように続いています。なぜでしょうか?病院に行ったほうがよいでしょうか?

64歳 男性・自営業

 

【アドバイス】
睡眠中に口腔内の乾燥で目が覚めるということですが、これは唾液の分泌不足が第一の原因と考えられます。加齢と共に唾液の分泌量が減少することが多く、これにより口の中が乾燥しやすくなります。この唾液不足は、睡眠中の口の乾燥だけでなく、口臭の原因にもなり、中高年の方に共通する悩みです。

唾液には、安静時に分泌される「安静唾液」と、口を動かしたり酸っぱいものを想像した時に分泌される「刺激唾液」の2種類があります。睡眠中は刺激唾液の分泌が減少し、安静唾液のみが分泌されるため、唾液の量が減り口腔内が乾燥します。さらに、就寝中に口呼吸をしている場合、口腔内の乾燥がよりひどくなることがあります。また、日中も口腔内が乾くようであれば鼻疾患の可能性も考えられます。

鼻疾患がない場合、口呼吸の原因は口輪筋(口の周りの筋肉)の弛緩が考えられます。日中でも無意識に口が開いたままになっていることが多いかもしれません。

これらの症状は、口輪筋を鍛えることで改善することができます。以下のような運動を1日3セット行うと効果的です。

  1. 10秒間ほど力を入れてギュッと口を閉じる練習を5回程度行う。
  2. 風船を膨らませ、鼻呼吸で息を吸いながら風船から空気が漏れないように唇でしっかり30秒程度保持する。

また、口輪筋の弛緩は舌根沈下を引き起こしやすく、その結果、睡眠時無呼吸症候群になりやすいのでご注意ください。舌根沈下も夜中に目が覚める一因となります。

日中も口の中が乾く場合は、糖尿病や自己免疫疾患、唾液腺腫瘍、唾石(痛みや違和感を伴うことが多いです)などの可能性も考えられます。これらの症状がある場合は、糖尿病内科、内分泌内科、耳鼻咽喉科の受診をお薦めします。