【医療相談011】 猛暑日に起きた脳梗塞と熱中症の違い

猛暑日に起きた脳梗塞と熱中症の違い

 

【相談内容】
ご相談です。倦怠感とふらつきを訴えた隣人(58歳・男性)のことです。連日の猛暑で、熱中症だと思い水分補給やクーラーの効いた部屋でくつろいでいたとのことですが、症状が治まらないため救急車を呼んだところ、「脳梗塞」とのことで緊急入院されました。「命に別状は無いとのことですが、後遺症が残る可能性がある」とのことで他人事ながら心配しております。私も主人も同年代で、連日の暑さで倦怠感やめまいなどを感じることがあります。熱中症と脳梗塞の見分け方は無いのでしょうか?また、この猛暑が続く時期に注意することがございましたら教えていただきたいのです。
57歳 女性・事務職

 

【アドバイス】
まず、この時期に起きる熱中症と脳梗塞の症状は非常によく似ており、医師でも判断が難しいことがあります。それは両者とも、初期症状がほとんど同じで「倦怠感、ふらつき、吐き気」などです。しかし、脳梗塞の場合は一つの目安として、初期症状の次に「顔面の麻痺、四肢の内の片側の麻痺や震え、言語の障害」などが現れます。共通の初期症状は急激な暑さのために起きる自律神経の乱れが原因だと考えられ、脳梗塞に発展するのは、それに加え主に脱水症状に起因する脳血管のつまり(ドロドロ血)の影響もあると考えられます。脳梗塞は早期であれば、その後のダメージ(後遺症)を抑えることができるため、脳梗塞の症状に近いものが一つでもあれば、迷わず救急車を呼んでください。

熱中症や脳梗塞に限らず、猛暑日に注意することは、自律神経の乱れです。暑さを感じると脳が「体温を下げろ」と命令し、発汗を促しますが、自律神経が乱れるとこの伝達がうまく機能しなくなります。これを防ぐには、まずは水分補給に加え気温差に注意することが大切です。たとえば猛暑の室外から冷房の効いた室内に入る場合の急激な気温差には要注意です。温度差対策として、徐々に温度差に慣れるように羽織るものなどで工夫をした上で、外気温との差を5℃以内に保つようにしてください。また、室内温度(エアコンの設定温度ではない)は25~26℃とし、特に就寝時には風に直接当たらないように心がけることで、自律神経の乱れを最小限に抑えるようにしてください。