【医療相談010】猫の熱中症

猫の熱中症

 

【相談内容】
人間の相談ではありませんが、猫のことでお聞きしたいのですが宜しいでしょうか?ここ数日の猛暑日で熱中症の話題がでていますが、猫にも熱中症は起きるのでしょうか?もし猫にも熱中症が起きる場合はどのように予防すれば良いでしょうか?また、どんな症状が出るのでしょうか?対処法を含め教えていただけたら幸いです。
28歳 女性・会社員

 

【アドバイス】
気温や湿度が高くなる時期に室内で過ごすことが多い猫でも、環境を整えない場合は熱中症のリスクが高くなります。熱中症は重篤化すると命に関わることがあり、猫も同様です。

猫は人間のように汗をかかず、犬のように舌を出して熱を逃がすこともできないため、体温調節が苦手ですので注意が必要です。エアコンが効いている部屋なら猫は快適に過ごせますが、あまりエアコンが効いていなかったり風通しが悪かったりすると、室内でも熱中症のリスクが高まります。

猫は鼻で気温や湿度を感知して快適な場所を探して移動しますが、部屋全体が高温・多湿だと逃げ場がなくなってしまいます。おうちの中で過ごすときの環境を整える場合は、適切な室温(22~25℃)と湿度(50~60%)を保つことが大切ですので、上手にエアコンを活用してください。エアコンの設定温度は28℃を超えないように調整してください。

猫の熱中症の症状は、軽度では「口を開けてハアハアと大きく呼吸をする」、「大量のよだれを垂らす」、「耳が熱くなる」などの特徴が見られます。中等度になると「筋肉が震える」、「吐き気や下痢」、「呼吸困難」などの症状が出ます。さらに重症化すると合併症を起こしたり、最悪の場合には死に至ることもあります。

熱中症を疑ったら速やかに動物病院に連絡をし、病院に連れて行ってあげることが大切です。連れて行くまでの間に自宅でできる応急処置としては、動物病院に猫の様子を伝えたうえで具体的な応急処置方法を聞くことになりますが、主に「身体を冷やすこと」と「水分補給」の指示を受けるケースが多いと思われます。

これは、熱中症になると体温が過度に高くなることが多いため、体を冷やすことが非常に大切なためです。具体的には、水で濡らしたタオルや布で包んだ保冷材を脇の下や太ももの間に挟む、濡らしたタオルを体にかけて上から流水を当てるなどが効果的です。また、自力で水を飲めれば水分補給も大切です。ただし、ぐったりして飲めないときには気管に入る危険があるので、その場合は無理に飲ませず、獣医師の指示に従ってください。